お酒大好き公認会計士のつぶやき

大阪で会計事務所を営む公認会計士です。自分の趣味や社会の出来事、特に会計や税金について書いていこうと思います。旅行も好きです。ラスベガスに毎年行くのが目標です。

民泊の規制緩和なんてしなくていい。問題が多いので、規制強化か、民泊禁止検討を望みます。

民泊に関してこんなニュース報道がありました。YOMIURI ONLINEの記事を引用させていただきます。

政府は25日の閣議で、マンション空き室などに旅行客らを有料で泊める「民泊」について、滞在日数要件を「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に緩和する政令改正を決定した。
 31日に施行する。改正政令には民泊事業者に対する〈1〉宿泊者名簿の備え付け〈2〉近隣住民との調整――の義務を明記した。
 山本地方創生相は記者会見で「観光客の宿泊ニーズに、より柔軟に応えられる」と述べ、民泊の利用増に期待を示した。
 民泊は国家戦略特区の区域計画が策定されている自治体などに限って認められており、現在は民泊条例のある東京都大田区大阪府で利用できる。

●ホテル不足という大義名分の下、犯罪者の肩を持つな
上の記事にあるように、民泊の要件が緩和されるとのことです。民泊なんて制度は禁止でいいです。旅館業法で営業が認められるようになったそうですが、ほとんど全て(某テレビ番組では99%以上と言っていました)の民泊事業者が違法営業状態であるとのことです。上場会社ですら適切な許認可を受けておらずに処分されている有様。
違法営業者に対しては、警察や自治体は取り締まりをしなければならないはずですが、何故犯罪者の肩を持つのでしょうか。

民泊というのは、家を持っている人が、空いている期間に稼働しないのが勿体ないので、宿泊したい人に貸すということで、とても有意義な制度だ思います。けど、本来的な意義としては、別荘で使っていない時期を有意義に使ったり、滅多にいけない場所や別荘に泊まることが出来るという貴重な体験を演出する制度だったんではないでしょうか。それが、今では、観光客が増えてホテルが足りないという大義名分のもとで、国が主導して民泊を推進しています。超目立つ違法営業以外には目を瞑ったまま。

●住環境を乱すな、管理規約を守れ
なぜ、私が民泊が禁止でいいと思うかというと、所有する不動産を賃貸しているからです。何年か前に、大阪の一等地と呼ばれる所にマンションの一室を買って、小銭を稼がせてもらっていますが、勝手にマンションの一室を民泊にする人が多いとよく聞きます。私も、たまたま、用事があって貸しているマンションに行ったときに、中●人と思われる旅行者一行がマンションの中から出てきて、衝撃と憤りを覚えました。

一棟を所有するオーナーであれば、賃借にするか民泊にするかなんて自由であり、儲かる方を選べばいいでしょう。しかし、殆どの分譲マンションでは、管理規約で民泊は禁止されているはずです。金儲けをするために、ルールを破るなんていうのは到底許すことができません。自分が住んでいるマンションに、ある日から、隣の部屋に見知らぬ人や外国人が来て、朝までどんちゃん騒ぎをされて、知らない業者が掃除のために出入りをし、共用部分にたむろされ、色んな部分を汚されたら、どう思うのでしょうか。コミュニティの一員として、自治を守らなければいけません。それができないのであれば、出ていくべきであり、違法営業など以ての外です。民泊制度は、周りとの和を尊ぶ日本人の精神性には合っているとは思えません。

●住む家が無くなって、後々自分たちの首を絞めることになる
フランスで今まさに起きている現象ですが、フランスの都心部・中心部からは賃貸用の物件がみるみる消えているということです。年間で8,000万人もの観光客が訪れる国です。賃貸で貸すよりも、民泊用に転用して、毎日のように旅行者から賃料を取る方がよっぽど儲かります。そんな理由で、フランスの中心部の物件はどんどん値段が上がり、賃料が上がって、便利な所には地元の人が住めなくなりました。日本も観光立国を目指した結果、自分達の住む家がなくなるなんてことにもなりません。一等地のタワーマンション。住人は殆どおらず、ほとんどが宿泊施設と化している。セキュリティ重視の物件のはずなのに、色んな国の人が我が物顔で歩いている。人も子供もいなくなって、学校も潰れてしまった。なんていう未来では笑えません。

●脱税の温床になっている
ほとんど全ての民泊事業者と言われる人々は違法営業だと書きましたが、同時に多くの人は無申告の脱税事業者だと思います。フランスではたった15%の人しか納税していないとのことです。民泊仲介サイトを通じて、個人から個人に金銭が授受されるだけです。お小遣い感覚だと思っている人が多いのかもしれませんが、所得金額が20万円を超える場合には確定申告をする必要があります。事業者として登録するには、税務署に対して開業届等の各種書類を届け出る必要があります。個人間の金銭授受であるだけでなく、仲介サイトも本名以外でも登録出来るサイトもあることから、課税庁側も所得を追跡するのが難しいビジネスです。民泊事業者の推進をするのであれば、同時に、不当な所得を生じさせない仕組みを作らなければなりません。最低限、仲介サイト側から源泉徴収を行うなどの手立ては必要だと思います。

●最後に
個人的な意見としては、民泊制度が、観光立国を目指すにあたって有用だとは思えません。ホテルがないから、その辺の民家に泊まってくれよ、なんていうカジュアルな考え方はうまくいかないでしょう。特に日本人は、音やマナーや近所付き合いに敏感です。
新築ホテルを建設するには莫大なコストと建設までの時間がかかり、事業のリスクが大きいため、宿泊施設を増やすには民家を使えばいいという流れでしょうか。偉い人が沢山集まって考えていると思いますが、安直だと思います。実際、違法営業者しか生み出せていません。空き家の活用といっても、近隣トラブルがくっついてきて、うまくいかないかもしれません。
廃業したホテルや旅館へのリノベ等の投資に関して優遇政策を行うとか、新規のホテル建設には補助金や税制優遇を与えるとか、商業ビルをホテルに転用するのに補助金が出るとか、空き家をうまく活用することに補助金が出るとか、民泊のように革新的な考え方ではないですが、月並みでベーシックな政策こそが宿泊不足を解消する近道なのではないでしょうか。

2017年から新しい医療費控除-スイッチOTC薬控除が創設されます。不要不急の薬は今年は買わない方がお得です。

9月も中旬になって、蒸し暑いですが、昼と夜の気温差も出てきましたね。夏の疲れも出たのか、風邪気味です。

風邪薬を見て、ふと思いました。2017年から医療費控除の特例措置として、2021年までの期限付きで、自主服薬の推進のためのスイッチOTC薬控除という制度が創設されます。

制度の概要は以下の通りです。

適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一 定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一に する配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中 に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超え る場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する。

 医療費控除は、大体の人が10万円を超えた部分が所得から控除されますが、健康体の人は医療費だけで10万円は超えないですよね。

スイッチOTC薬控除は12,000円以上を超えて88,000円を限度、つまり1年の支払総額が100,000円までは所得控除されることとなります。適用される薬の種類も多いので、家族分を含めると、年間で12,000円位は超える人も多いのではないでしょうか。

適切な健康管理を受けるという条件が必要ですので、メタボ検診・予防接種・定期健康診断・人間ドック・がん検診等を受けている方が対象となります(確定申告の際に証明書の提出は求められないとは思いますが・・・)。

そもそも、スイッチOTC薬とはなんぞや?ですが、医療用から要指導医薬品及び一般用医薬品に転用されたものです。

対象となる医薬品の薬効の例としては、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬 、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬が例示されています。

厚生労働省から公表されてい対象品目一覧は以下の通りです(2か月に1回更新されるそうです)。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000134361.pdf

39ページもあり、一般的に買う薬であれば、大体のものが対象となると思われます。

 アリナミンEXなんかの疲労回復を効能とする薬品は、治療を目的としているのではないので、これまでの医療費控除だと該当しない医薬品だったのではないかと思いますが、今回の制度ではばっちり該当します。

のんべえの味方、ウコンやヘパリーゼはさすがに対象外のようです(笑

 

スイッチOTC薬控除は2017年度から創設されます。なので、2016年に医療費が10万円を超えている方や、もうちょっとで10万に届きそうな方は、必要な薬はどんどん買えばよいですが、医療費が今年10万円行かないような場合で、薬も急に必要でない場合には、年末にかけて慌てて薬を買わずに来年に回した方が税金が安くなる可能性が高くなります。

自分と生計をともにしている家族の分も合算できます。コンビニで買える咳止めドロップなんかも対象になるので、捨ててしまいがちなレシートも残しておきましょう。

この制度を受ける注意点ですが、第一に、確定申告する必要があります。サラリーマンで年末調整している方も、確定申告しなければいけません。第二に、というか一番重要ですが、スイッチOTC薬控除を適用すると現行の医療費控除は受けられません。つまり2つの制度の両取りはできません。なので、毎年、ご自身とご家族の医療費の金額を計算して、どちらの制度を受けるかを判断する必要があります。

勝手に自分で考えましたが、判断基準は以下のようになると思われます。

  1. 自分と生計をともにしている家族の医療費が18万8000円を超える場合は、医療費控除を適用する方が得になります(医療費控除の上限は200万円まで)。
  2. 自分と生計をともにしている家族の医療費が10万円以上18万8000円未満の場合は、医療費を医薬品部分と診療部分に分けて計算し、どちらの制度が有利か計算する必要があります。
  3. 自分と生計をともにしている家族の医療費が10万円未満の場合は、スイッチOTC薬控除を適用します。

他にも色々注意すべきことはあるのですが、住宅ローン控除等で所得税が0円になっている方も、医療費控除、スイッチOTC控除、雑損控除、寄付金控除等の年末調整だけでは調整されていない控除がある方は必ず確定申告してください。これらの控除は所得金額を減少させるものですので住民税の減税効果があります(住宅ローン控除は税額を控除するもので、所得金額を減少させるものではありません)。

とはいえ、医療費は使わないのが一番安くつきますので、健康に過ごしたいものです。

 

所得税の「基礎控除」見直し 高所得者ほど減税効果は大きいと言えるのか。結局は増税ですか・・・ 

産経新聞が、平成29年度税制改正所得税基礎控除を見直すことを政府与党が検討している旨のニュースを配信していました。以下、一部引用します。

政府が全ての納税者に適用される所得税の「基礎控除」について、高所得者ほど減税の効果が大きいとして見直しを検討していることが13日、分かった。非正規雇用の拡大などで家族を養う経済的余裕がない若年層が増える中、低所得者の税負担を軽減し、高所得者に一定の負担を求める方向で、減税額を一定にする案や所得制限を設ける案が浮上している。(引用終わり)

基礎控除というのは、誰であっても38万円を総所得金額から減額できるというものです。よくパートの給料103万円の壁、なんて言いますが、あれは給与所得控除が最低65万円、基礎控除が38万円、合計103万円が所得控除されるので、課税所得が0円になるので、所得税が課税されないというものです。

さて、この基礎控除について、高所得者ほど減税の効果が大きいって書かれてますが、どうなんでしょうね。ちょっと計算してみましょう。

世の中には給与所得者が多いですから、それをベースに考えてみましょう。下の図は平成28年の給与所得控除額の一覧表です(よく使うので、エクセルに式を飛ばして自作しています)。

モデルケースは東京都在住、45歳、独身とします。毎月の給与が20万円、50万円、100万円として、基礎控除社会保険料控除しかないとしましょうか。

①年収240万円の場合

給料 2,400,000円-給与所得控除 900,000円-社会保険料控除 348,288円-基礎控除 380,000円 = 課税所得 771,712円 (控除率67.8%)

② 年収600万円の場合

給料 6,000,000円-給与所得控除 1,740,000円-社会保険料控除 870,720円-基礎控除 380,000円 = 課税所得 3,009,280円 (控除率49.8%)

② 年収1,200万円の場合

給料 12,000,000円-給与所得控除 2,300,000円-社会保険料控除 1,706,616円-基礎控除 380,000円 = 課税所得 7,613,384円 (控除率36.5%)

次に、それぞれのケースで、所得税と住民税も計算してみましょう(住民税と所得税は少し基礎控除額が違いますが、差異は小さいので簡便的に所得税の課税所得と同じとしています。)

①の場合

所得税 38,550円+復興税 809円+住民税 82,100円

=合計税額 121,459円 (負担税率5.1%) (給与の手取率 80.4%)

②の場合

所得税 203,400円+復興税 4,271円+住民税 305,900円

=合計税額 513,571円 (負担税率8.6%) (給与の手取率 76.9%)

②の場合

所得税 1,114,990円+復興税 23,414円+住民税 766,300円

=合計税額 1,904,704円 (負担税率15.9%) (給与の手取率 69.9%)

という結果になりました。当たり前ですけど、並べて見ると高額所得者ほど、税負担率が高くなって、給与の手取率も減っていきますね。

基礎控除高所得者ほど減税効果が大きいとの主張は正しいでしょうか?

私は正しくないと思います。給与所得控除を見れば解ると思いますが、高所得者ほど、給与所得控除の割合が低くなっていて不利になっています。

給与所得控除の割合が誰でも一緒なら、高所得者基礎控除が同額である恩恵を受けていると言えると思いますが、税負担率を見ると、現状は低所得者ほど基礎控除の恩恵を受けています。

政府としては、取りやすいところから取るというのが本音なのでしょうね。どうやって見直すのかはわかりませんが、今の控除制度は解りやすくていいと思いますけどねぇ。複雑な税制にすればするほど、間違いも起きるし、余計にコストがかかって、増税の効果が薄れてしまいます。

監査法人の決算書、見たことありますか?給料は?新日本を中心に見てみます。

上場会社や大規模な会社に対して会計監査の実施を主たる業務としている監査法人ですが、監査法人の決算書って見たことあるでしょうか?実は働いている職員もあまり気にしている人はいません。

監査法人公認会計士法により、監査済みの決算書を公表することが求められています。
大手3大監査法人だと、有限責任監査法人トーマツ(以下、トーマツ)が9月決算、新日本有限責任監査法人(以下、新日)と有限責任 あずさ監査法人(以下、あずさ)が6月決算となっています。

新日とあずさは9月初旬に決算書を公開しました。
新日については、今年は東芝の不正会計事件があり、金融庁から課徴金処分、業務改善命令、3カ月の新規契約の締結の停止といった厳しい処分を受けました。東芝は日本を代表する電機メーカーであり、最も内部統制が整備・運用されており、東芝の内部統制を他の上場会社は見本にするべきだと、業界内では言われていただけに、公認会計士業界には大きな激震が走りました。

そして、こうした処分は、新日の当期の決算書の数値の面でも大きな影響を与えたのではないかと推察しています。そこで、あずさの情報も一部利用しながら、監査法人の財務的な特徴と、新日の決算書を中心に読み解いていこうと思います。

監査法人の特徴-極めて高い人件費比率と、キャッシュリッチな資産f:id:umekisan16:20160913211358j:plain

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例として、あずさの直近のBSとPLを参考にしました。なんと売上高に対する人件費の額である人件費比率が70%を超えています。人件費比率は業種により様々ですが、多くても50%程度なので、極めて人件費の占める割合が高くて、労働集約されまくっている珍しい業界です
そして、総資産に占める現金・預金の割合が50%近くになっています。監査法人は人がいてなんぼですので、普通の会社のように投資するものがあまり無く、現金・預金が非常に多くなっています。


次に、新日本の決算書を見ていきたいと思います。
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決算書の前半には業績の概況が記載されており、当期末時点のクライアント数が、監査証明業務で113社減少(△2.8%)、非監査業務222社で減少(△6.6%)となっています。通常は大きな変動がない業界ですので、かなりの減少になっています。

減少要因としては、金融庁からの処分を受けて一部の会社で監査人を変更する動きがあったことや、非監査業務でも新規契約の締結停止の影響があったことが大きいと考えられます。

一方、当期の収入は1,064億円で前期と比較して74億円の増加となりました。何故こんなにも増えたのでしょうか?
心当たりがあります。そう、東芝です。東芝の2016年3月期の有価証券報告書を見てみました。新日に対する監査報酬等が明らかにされています。

前期は10億円、当期は・・・なんと53億円!!!、その他アドバイザリー報酬等も26億円と前期比9億円増となっています。
当期の売上増加の74億円のうち、52億円が東芝関係の増加となっています。

不正会計事件を受けて、東芝の2015年度の有価証券報告書の提出は、通常の6月から9月まで遅れに遅れました。報酬単価はわかりませんが、推定で3万~4万時間の追加作業が発生したと思われます。ご存知のように、会計監査は公認会計士の独占業務ですので、誰でも出来るわけではありません。つまり、既存の職員の方々で、この追加作業をしたことひなりますので、非常にきつく、困難であったと思われます。この増加は給料にも反映されると思うので後述することにします。

当期は、新日にとっては東芝の特需がありましたが、21億円の課徴金の支払があり、特別損失に計上されています。なんとか赤字決算は避けるために、社員の退職金制度の変更による戻し入れを特別利益に12億円計上していることが見て取れます。社員の退職金についても後で述べたいと思います。

さて、新日の進行期はクライアントの数が減った状態でスタートすることになります。減少したクライアントには大規模な上場会社も含まれているため、新日の売上は数十億円から100億円規模で減少するかもしれません。厳しい経営を強いられることになりそうです。

監査法人は人件費比率が極めて高いと述べましたが、平均給与はどのようになっているでしょうか。
これも決算書から伺い知ることができます。
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新日の当期の人員の内訳は社員627人、公認会計士と試験合格者 3,854人、監査補助員と事務職員 1,796人、全職員で6,277人となっています。
人件費は60,814百万円なので、単純に頭割りして平均968万円となりました。
実際は、監査補助員と事務職員の給料は高くないと思われるので、仮に600万円の年収とすると、会計士だけでは1,160万円程度の平均年収になるようです。
当期は東芝関連で異常に残業代を支払っているので、かなり上振れしたようです。
平時だとこんなに高くありません・・・。社員と言われる、高所得者の人たちの給料も含まれた平均ですので、私はこれよりもだーーいぶ少なかったです。

最後に、社員(パートナーと言うのが一般的です)の退職金についても述べたいと思います。
監査法人で社員というと、普通の会社でいう社員ではありません。彼らは出資者=監査法人の持分所有者(オーナー)です。
他の従業員は職員と言われます。職員の退職金は本当にすずめの涙です。私の退職金も少なすぎて、びっくりしました(笑

パートナーの方々は、社会的に大きな責任を負っているため、給料も高いですし、退職金も高くなります。
あずさとトーマツは退職金については、新日とは異なる会計処理を採用していて、パートナーの退職金の額がわからないのですが、前期の新日ははっきりとわかるようになっていました(当期からは会計処理が変わっていてわかりません)。
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社員退職引当金が335億円計上されています。前期の新日のパートナーの人数は640人でした。
これを頭数で割ると・・・
一人当たり平均退職金5,240万円!!

なかなかのものですね。これも平均ですので、多い人は退職金が軽く1億円超えますね。
こんなに稼げるように頑張りたいです。

というわけで、監査法人(申し訳ないですが、増減がはっきりしていたので、新日ばっかりになってしまいました)の財務的な特徴を書いてみました。

終わってしまった雨金祭り。けど、ひどいと思います。。

優良なキャンペーンだった、アメックス・ゴールドカードの公共料金でのマイル付与のキャンペーンだったのですが。

 

なんと、一方的にメールを送り付けられて、終了しました・・・

以下メール原文を引用します。

 

アメリカン・エキスプレスのカード会員様へ
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【重要なお知らせ】
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平素より、アメリカン・エキスプレスのカードに
ご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。

お申し込みの際に新規ご入会特典としてご案内いたしました「公共料金などを
対象としたボーナスポイントプレゼント」を、誠に勝手ながら2016年9月8日を
もちまして、終了させていただくことになりました。2016年9月9日以降に記載
されるお客様のカードご利用履歴に関しましては、対象加盟店でのお支払いで
あってもボーナスポイント加算の対象外とさせていただきます。

カード会員様にはご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。
なお、本Eメールはキャンペーンの対象期間が終了しているカード会員様にも
お送りさせていただいております。あらかじめご了承ください。

本件に関しまして、ご不明点などがございましたら、
カード裏面の電話番号までお問い合わせください。

今後とも、アメリカン・エキスプレスのカードに変わらぬご愛顧を賜りますよ
うお願い申し上げます。
末筆ながら、あなた様のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

2016年9月9日
個人事業部門

 

8月末に申し込んでから、全然審査の合否の連絡が来なくて、漸く、9月10日に入手できそうだったのですが、キャンペーンは全て打ち切られてしまいました。とりあえず、ポイントサイトからは10,000円相当のポイントがもらえそうなのと、1年目の年会費は無料なのて、受け取って半年位は保有して解約しようと思います。使うモチベーションが全くなくなりました。

法の不遡及」なんて言いますが、こういうのはありなんでしょうか。一私企業のポイントに関する決定なので、法に触れる部分は無いのでしょうが、これから顧客になるかもしれない相手に対して、今まで出していたキャンペーンを反故にするのは、あまりに不誠実だと言わざるを得ません。

6月以前にカードを作られた方が、上限無制限で無茶をしたのかどうかはわかりませんが、クレジット=信用を売りにする、ステータスカードとして世界で最も有名な部類のAMEXが、自らのクレジットを貶めるような行為を行ったことは、本当に残念でなりません。

懸賞がまれに中止になることはニュースなんかで見ることがありますが、ここまで大きな会社が大規模キャンペーンを反故にすることは前代未聞ではないでしょうか。

14歳最年少プロ棋士誕生 子供の税金ってどうなってる?

将棋の第59回奨励会三段リーグ戦の最終戦が9月3日あり、藤井聡太さんがプロ棋士となる四段昇段を決めました。藤井さんは14歳2カ月の中学2年で、加藤一二三九段の最年少記録14歳7カ月を、なんと62年ぶりに更新したそうです。ネットやテレビで大人気のヒフミンですが、ほんまに凄いんや。

これまでに、中学生でプロになった棋士は、加藤さん、羽生さん、谷川さん、渡辺さんの4人しかいなく、誰もがご存知の将棋界を代表する棋士の方々です。藤井さんがタイトル戦に出てくる日も、そう遠くない未来かもしれません。

藤井さんがプロ棋士になると、当然、対局料や賞金、副賞等を得ることになります。まだ14歳です。税金ってどうなるのでしょうか。

 

結論から言うと、所得税法には、何歳から納税しなければならない、なんていう条文はありませんので、赤ちゃんモデルや子役俳優であっても、申告する必要があるほどの所得があれば確定申告をする必要があります。

プロ棋士は、個人事業主になると思いますので、藤井さんは早速開業届や青色申告の届け出を出さないといけませんね。対局料は事業所得ですね。賞金は、一般人は営利を目的としていないため一時所得となるでしょうが、プロ棋士は、賞金を得るために日々頑張っておられるので、事業所得に該当するでしょう。

14歳ということで、今は親御さんの扶養家族に入っていると思いますが、所得金額が130万円を超える場合には、扶養家族には入れなくなっちゃいます。ご自身で国民健康保険に加入する必要があるでしょう。

まだあります。獲得賞金が年間で1,000万円を超えてくる場合には、消費税の課税事業者になるので、消費税も納付する必要があります。若いのに確定申告大変だ(笑

そういえば、労働基準法で義務教育を受けている人は、月40時間しか労働することができず、夜間も就労出来ないという法律がありますね。プロ棋士の労働時間はいつを指すのですかね。拘束時間なのか、対局している時間だけなのか・・・

(後日ご指摘いただきまして、個人事業主労働基準法の対象外となりますので、上記記述は誤りでございます。)

とっても明るいニュースですが、中学生が多額のお金を稼ぐようになると、裏では色々な手続きがあって中々に大変そうです。

 

藤井さん、おめでとうございます!!

 

三井ホームの不適切会計と工事会計と監査

7月に三井ホームで不適切会計があった旨の報道がされましたが、8月2日に調査結果の報告と、平成28年度の有価証券報告書及び内部統制報告書の訂正がされました。

内容については、内部統制報告書の訂正報告書の一文を以下に引用します。
『当社リフォーム事業部門の一部の従業員が利益計画を達成したと見せかける目的で、売上原価の翌事業年度への先送り、未完成工事の売上前倒し等の不適切な会計処理を行った事実が判明し、過去2事業年度における当該不適切会計処理の決算への影響額が明らかとなりました。』

この事案が財務諸表に与える利益の影響額は約6千万円です。連結売上高が28年3月期で2,560億円、税引前利益で38億円もある大きな会社規模を考えると、この不正な会計処理が財務諸表に与える影響はかなり小さいのではないかと個人的に思います。あるいは、三井ホーム単体では、税引前利益が13億円ですので、影響は小さくないとして公表に至ったのかもしれません。
社内の関係部署で処理をするのでなく、過年度の財務数値を修正し、この不正な会計処理を防止するためのモニタリングが有効に機能されていなかったとして、財務報告に重要な影響を及ぼすことになる「開示すべき重要な不備」と判断したことは、会社のみならず、会計監査の点でも非常に大きな出来事だと思います。コンプライアンスの遵守を強く求める環境や、厳しい会計監査が背景にあるのではと推察されます。

これまでもゼネコンやハウスメーカーといった建築関係の業界では、数々の不正・粉飾会計事案がありました。何故このような事がよく行われるか、様々な要因があると思われます。例えば、ゼネコンが下請け・孫請けに対して力を持ちすぎている、業界慣行として原価管理に対する意識が低い、等々・・・
そこで、前置きが長くなりましたが、今回は、建築業界が決算数値の計上根拠とする、工事会計基準(特に工事進行基準)とそれを監査する難しさについて述べたいと思います。

私も色々な業種の会計監査を経験して来ましたが、ゼネコン・ハウスメーカー・不動産仲介管理業者等の会計監査にも数年間従事していました。そこでいつも思っていたことは、「難しい、数字が正しいか不安、会社の説明が本当か確証が持てない」こんな事が頭によぎります。恐らく他の同業者の方もそうでしょう。

何がそうさせるのか、それは工事会計、特に工事進行基準には「見積り」の要素が多く含まれるからです。
工事進行基準をごく簡単に説明すると、工事の進捗に従って売上や原価を計上するというものです。つまり、100のうち50が出来たら半分の売上と原価を計上します。言えば簡単ですが、家を建てたり、リフォームしたこと経験があればわかりますが、工事の見積価格、仕様、期間なんて変わることもざらです。会計的には、こういう部分を「見積り」というのですが、売上、原価、期間(進捗率)大きくこの3つに見積りの要素があるために、数字の正しさを立証するための監査も困難になります。日本公認会計士協会も、「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」を平成27年に出しており、有効な監査を実施するための細かな手続きを定めています。

今回の事案が具体的にどのようなものかは解りませんが、過去にはこんな例がありました。
事例①
・不正をした理由・・・売上の予算を達成しないといけないので、まだ出来ていない家を完成したことにする。
・監査の手続・・・完成リストからサンプルを抽出し、家を実際に視察しに行く。
普通にしていればバレます。しかし、この場合は、建設途中の家の資材を移動し、窓にはカーテンをかけ、表札もつけて、さぞ人が住んでいるように偽装していました。これでは、視察をしても不正が見抜けません。これで、本当は80しか売上計上できない家が、100の売上になりました。監査人は、施主に電話をしたり、隣人に「お隣さんは引っ越してきましたか?」とか聞けばよかったかもしれませんが、そんなこと普通はしませんし、したとして口裏を合わせされている可能性もあります。
事例②
・不正をした理由・・・利益が足りないので、原価を後で計上したい。
・監査の手続・・・工事のリストからサンプルを抽出し、売上と入金状況、請求書と原価額の一致を確認する。
この場合も、普通にしていればバレます。しかし、一部の工事を施主の引き渡し後の点検で問題があったために追加工事した、などの虚偽の理由で、工事業者と結託して、請求書の発送を遅らせます。こうすると、原価が後回しになるので、一時的には利益が増えることになります。特に小さな工事だと監査人が気付かない可能性は高いです。

このように、悪意を持って不正な会計処理をしようとすると、発見は非常に困難です。監査人は会社の不正な会計処理を発見することが目的ではありませんが、正しい数値が計上されていることを立証するために、あの手この手で監査手続をしています。

不正を防止するための最も重要なことは、会社の内部統制が効いていることです。事例の不正も、内部統制が有効であれば防げたでしょう。経営者の誠実性、社内環境、社風から始まり、業務マニュアル、承認状況、モニタリング、業務監査、内部監査等々、内部統制のサポートがないと会計監査だけでは実効性を持ちません。どの業界でも内部統制は重要ですが、特に建設業は高度で強力な内部統制を構築する必要があると思います。