お酒大好き公認会計士のつぶやき

大阪で会計事務所を営む公認会計士です。自分の趣味や社会の出来事、特に会計や税金について書いていこうと思います。旅行も好きです。ラスベガスに毎年行くのが目標です。

もうすぐ秋競馬。競走馬と繁殖馬と減価償却と

北海道を中心に地方競馬場で行われていたサマーシリーズも終わり、秋の3歳クラシックや、年末にかけてのG1に向けて、ステップレースが始まる時期になりました。
そう、秋競馬がもうすぐ開幕します。この前、金杯だったはずなのに、月日が経つのは早い、いや速いのかも。

今年の牡馬クラシックは、有力所がちょっと抜けていますが(馬がいない、いる馬は強い)、伯母が一口で所有するウムブルフも菊花賞に出れそうなので楽しみです。

現役馬だと、いつ走るかわからないヒットザターゲットが好きです。彼は本当はG1勝てるけど、絶対気分屋なんだと思います。ちなみに、一番好きな馬は牡馬だとサイレンススズカ牝馬だとスイープトウショウです。

さて、前置きはここまでにして、競走馬と種牡馬繁殖牝馬減価償却について話をしてみようと思います。

競走馬というのは、基本的には固定資産です。そして、固定資産は減価償却により、定められた耐用年数の期間にわたって減価償却費として費用化されます。なぜか?費用と収益を対応させないと特定の期間の損益計算が歪むからだと説明されます。

本当は、費用と収益を対応させる期間は、持っている資産がどれだけの期間の長さで収益を上げるかという経済実態で判断すべきですが、日本の実務では、税法で定められている耐用年数を優先することがほとんどなので、費用と収益の対応期間は歪んでいることが多いです。みんな好きにやると税金取れませんからね。競走馬は4年、繁殖馬は6年と決まっています。身近なものだと、住宅用鉄筋コンクリート建物で47年、一番長いものは水道用ダムで80年です。耐用年数表は見ると面白いので、検索してみてください。

では、競走馬はいつから減価償却がはじまるでしょうか。産まれた時から、と言いたいところですが、2歳馬にならないとレースがないので最初は減価償却しません。つい最近、日本馬主協会連合会からの要望があり、国税庁もこれを受け、償却開始時期の取り扱いが変わったようです。

これまでは、減価償却の開始は、厩舎に預けられ調教師によるトレーニングが開始された時期(大体、1歳11カ月位でしょうか)でしたが、現在は育成センターが充実しているため、必要な手続きを得た馬は、1歳9カ月からのようです。

競走馬は大体3月4月に産まれますので、5歳の有馬記念か、明けて6歳の金杯の頃には、何百万円の馬も、何億円の馬も帳簿上の資産価値は1円になります。

経済実態を本当に考えるとすると、例えば、エアグルーヴ産駒やアグネスタキオン産駒は、平均的に足元が弱いから3年とか、弱小繁殖馬の産駒はほとんど勝ち上がれずに引退するから2年、とかするべきですが、そこは見積もりの世界なので難しいですね。12歳まで第一線で走っていたトウカイトリックなんて、費用と収益が全然対応していません。税法でバサッと切ってしまうのも一定の合理性があると思います。

では、ある競走馬が無事にG1を勝ち、6歳に引退し種牡馬になりました。減価償却はどうなるでしょうか。

答えは、用途を転用した時点で減価償却がまた新たに始まります。狭き門を突破した馬は、新たに6年間の経済的価値を持つことになります。けど、馬主さんがそのまま所有していた場合は、もう帳簿上の価値が1円なので減価償却できませんね。

最近は、大手のファームや牧場に売却することも多いですね。例えば、ディープインパクトは競走馬としては7,000万円の価値でしたが、種牡馬の時には数十億円のシンジケートが組まれ話題になりました。この場合は、売却額の数十億円が、新たな経済価値となり、6年間にわたって減価償却されることになります。

固定資産は、車にしろ家屋にしろ、経年で価値が殆どなくなったものが高額で売れるなんてよっぽどのことですが、競走馬の場合も、同じようによっぽどないことですが、値段のスケールが半端ないです。

競馬はブラッドスポーツと言われますが、いい血ほど相対的に高いという経済実態の中で、オグリキャップテイエムオペラオーのような、格安馬が活躍することも血統の不思議であり魅力の1つです。そういうことがままあるので、競馬はやめられません。馬券なんてほとんど当たらないですけどね。。
一時所得を申告しなければならない位にでかい馬券を当ててみたいものです。