お酒大好き公認会計士のつぶやき

大阪で会計事務所を営む公認会計士です。自分の趣味や社会の出来事、特に会計や税金について書いていこうと思います。旅行も好きです。ラスベガスに毎年行くのが目標です。

返礼品が売り切れる前に、ふるさと納税は早めにしましょう。制度の問題点も考えてみる。

台風も多く、10月になっても暑い日が多いですが、少しずつ秋めいて来ましたね。

年末に向けて、ふるさと納税の申し込みも多くなると思いますので、特に食品を希望される方は、ご希望の返礼品がまだ豊富にある今のうちに納税をした方がいいと思われます。

当ブログではこれがおすすめだ!!という記事ではありません(笑

住民税の控除額の上限が上乗せされ、寄付をした自治体等が5団体までであれば、寄附金税額控除に係る申告特例申請書を寄附した自治体へ提出すれば、一般的なサラリーマンの方であれば確定申告も不要になりますので、ますます便利でお得な制度になっていますね。詳しい方法は、検索すればすぐに出てきますので、そちらをご参照下さい。

しかし、返礼品の種類はすごいですね。肉・米・魚・果物・缶詰・麺・旅行券・旅行・コスメ・服などなど、岐阜県関市では500万円で日本刀を作ってくれる、なんていうのもありますね。とにかく、どの自治体も寄附を集めるために返礼品を充実させようと必死なのが伺えます。

 

ふるさと納税制度の良い点、悪い点

確かに、ふるさと納税によって、寄附を受けた自治体が、地元の生産者や事業者から返礼品を買い上げることで、その自治体に雇用が生まれ、生産者や事業者の売上増加に貢献することは望ましいことだとは思います。

ですが、その原資はもともと自分が生活している自治体に納付していたはずの住民税であり、寄附をすることで、返礼品をくれる自治体に住民税が移っただけです。言い換えれば、返礼品は自分の住んでいる自治体が買ってくれた、ということです。

自分の出身地や、思い入れのある場所、縁のある場所なんかに寄附をすることは、この制度のそもそもの理念だったはずですが、今はお土産がより良い場所に寄附金が集まっているのが現状のようで、当初の理念とはかけ離れてきているのではないかと考えたりもします。

 

●大都市では住民税の減収が問題となっている。

ふるさと納税をして、返礼品を貰えることは、個人的には嬉しいことですが、大都市では税収が少なくなっている多いようです。私は大阪市に住んでいますが、大阪市もこの制度で17億円の税収減となったようです。横浜市なんかでは30億円以上も減収しています。

米や肉を貰うことは嬉しいけれども、みんなが米を貰ったせいで、作るはずだった保育園が出来なかったり、ゴミの収集回数が減ったり、街の清掃が行き届かなくなったり、水道や下水処理代が高くなったり、除雪車の回数が減ったり等々、歪みが大きくなるほど、自分が住んでいる地域の住民サービスが低下することになります。

水道代や下水処理代が高くなることは、現実に起きるかもしれません。低所得者ふるさと納税の恩恵が少ないため、寄附した金額以上に損をする日は、このままだと遠い未来ではないでしょう。最悪、税収が減少したせいで、自分の住んでいる自治体が破綻・・・なんてことになったら笑いごとではありません。

 

 ●高所得者に有利すぎる制度。

ふるさと納税の問題点として、もう一つ挙げて起きたいのは、高所得者に有利すぎる、という点です。例えば、年収が300万円の人であれば、寄附金の上限の目安は28,000円ですので、必ず負担しなければならない2,000円を引いて、26,000円の税金が安くなります。これが、600万円になれば75,000円、1,000万円になれば175,000円、2,000万円になれば545,000円とどんどん税金の控除額が大きくなっていきます。

数万円であれば、肉や魚が貰えて丁度いい程度ですが、年収が1,000万円クラスになると旅行券を返礼品にしたとすれば、8万円程の旅行券に交換することも可能で、税金が安くなって、さらに寄附金の半分近くの現金等価物まで貰えるという、なんぼ何でもやりすぎやろ!という感じになります。

先ほども書きましたが、制度が浸透して皆が皆、寄附をするほど、住民サービスが悪くなり、値上げされた場合の負担感は低所得者ほど大きくなります。貰い手の自治体は潤って良いでしょうが、払い手の自治体に住んでいる場合は、色々プレゼントは貰ったけど、実は後で高ーーーい請求書が来る、ということになると思います。

メディアでは、ここの自治体に寄附するのがお得だ、なんてよくやっていますが、良い点だけでなく、悪い点も考えていかないといけません。

 

●今後、どのような制度にすべきか。

ふるさと納税は始まってから8年ほど経ち、納税額も年々増加しています。それ故に自治体間の歪みも広がっています。是正を考える時期も近いと思います。

より良い制度にするにはどうすべきか、ですが、個人的にはシンプルな考えで、今の減税枠が大きすぎるので、少なくするのが一番だと思います(特に高所得者)。

住民税自体を控除するのではなく、寄附した額だけ税率を掛ける前の所得を控除する、というのも考えられますが、これだと、減税額が途端に少なくなり、ふるさと納税の旨味が無くなりすぎるので、一気に制度がしぼんでしまうことになりかねません。

出身自治体や同じ都道府県なら何か所でもOK、返礼品目的の関係のない場所なら年間何か所まで、と制限を付ける。なんていうのもありかと思いますが、実務処理が面倒そうです。

 

●終わりに

とてもお得なふるさと納税ですが、考えないといけないことも多いと思います。得をしたと思って、実は損をしていたという事態にもなりかねません。

とはいえ、自分の税金を安くするために使える物は使わないと損なので、ひとまずは制度を利用することにしましょう。同じ大阪府で、関空がある泉佐野市なんかは応援したいので、Peachポイントでも貰って、さくっと近距離旅行にでも行こうかな。