お酒大好き公認会計士のつぶやき

大阪で会計事務所を営む公認会計士です。自分の趣味や社会の出来事、特に会計や税金について書いていこうと思います。旅行も好きです。ラスベガスに毎年行くのが目標です。

2017年から新しい医療費控除-スイッチOTC薬控除が創設されます。不要不急の薬は今年は買わない方がお得です。

9月も中旬になって、蒸し暑いですが、昼と夜の気温差も出てきましたね。夏の疲れも出たのか、風邪気味です。

風邪薬を見て、ふと思いました。2017年から医療費控除の特例措置として、2021年までの期限付きで、自主服薬の推進のためのスイッチOTC薬控除という制度が創設されます。

制度の概要は以下の通りです。

適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一 定の取組を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一に する配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価を支払った場合において、その年中 に支払ったその対価の額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が8万8千円を超え る場合には、8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する。

 医療費控除は、大体の人が10万円を超えた部分が所得から控除されますが、健康体の人は医療費だけで10万円は超えないですよね。

スイッチOTC薬控除は12,000円以上を超えて88,000円を限度、つまり1年の支払総額が100,000円までは所得控除されることとなります。適用される薬の種類も多いので、家族分を含めると、年間で12,000円位は超える人も多いのではないでしょうか。

適切な健康管理を受けるという条件が必要ですので、メタボ検診・予防接種・定期健康診断・人間ドック・がん検診等を受けている方が対象となります(確定申告の際に証明書の提出は求められないとは思いますが・・・)。

そもそも、スイッチOTC薬とはなんぞや?ですが、医療用から要指導医薬品及び一般用医薬品に転用されたものです。

対象となる医薬品の薬効の例としては、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬 、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬が例示されています。

厚生労働省から公表されてい対象品目一覧は以下の通りです(2か月に1回更新されるそうです)。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000134361.pdf

39ページもあり、一般的に買う薬であれば、大体のものが対象となると思われます。

 アリナミンEXなんかの疲労回復を効能とする薬品は、治療を目的としているのではないので、これまでの医療費控除だと該当しない医薬品だったのではないかと思いますが、今回の制度ではばっちり該当します。

のんべえの味方、ウコンやヘパリーゼはさすがに対象外のようです(笑

 

スイッチOTC薬控除は2017年度から創設されます。なので、2016年に医療費が10万円を超えている方や、もうちょっとで10万に届きそうな方は、必要な薬はどんどん買えばよいですが、医療費が今年10万円行かないような場合で、薬も急に必要でない場合には、年末にかけて慌てて薬を買わずに来年に回した方が税金が安くなる可能性が高くなります。

自分と生計をともにしている家族の分も合算できます。コンビニで買える咳止めドロップなんかも対象になるので、捨ててしまいがちなレシートも残しておきましょう。

この制度を受ける注意点ですが、第一に、確定申告する必要があります。サラリーマンで年末調整している方も、確定申告しなければいけません。第二に、というか一番重要ですが、スイッチOTC薬控除を適用すると現行の医療費控除は受けられません。つまり2つの制度の両取りはできません。なので、毎年、ご自身とご家族の医療費の金額を計算して、どちらの制度を受けるかを判断する必要があります。

勝手に自分で考えましたが、判断基準は以下のようになると思われます。

  1. 自分と生計をともにしている家族の医療費が18万8000円を超える場合は、医療費控除を適用する方が得になります(医療費控除の上限は200万円まで)。
  2. 自分と生計をともにしている家族の医療費が10万円以上18万8000円未満の場合は、医療費を医薬品部分と診療部分に分けて計算し、どちらの制度が有利か計算する必要があります。
  3. 自分と生計をともにしている家族の医療費が10万円未満の場合は、スイッチOTC薬控除を適用します。

他にも色々注意すべきことはあるのですが、住宅ローン控除等で所得税が0円になっている方も、医療費控除、スイッチOTC控除、雑損控除、寄付金控除等の年末調整だけでは調整されていない控除がある方は必ず確定申告してください。これらの控除は所得金額を減少させるものですので住民税の減税効果があります(住宅ローン控除は税額を控除するもので、所得金額を減少させるものではありません)。

とはいえ、医療費は使わないのが一番安くつきますので、健康に過ごしたいものです。