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お酒大好き会計士・税理士のつぶやき

大阪で会計事務所を営む公認会計士・税理士です。自分の趣味や社会の出来事、特に会計や税金について書いていこうと思います。旅行も好きです。ラスベガスに毎年行くのが目標です。

所得税の「基礎控除」見直し 高所得者ほど減税効果は大きいと言えるのか。結局は増税ですか・・・ 

税金 時事問題 経済

産経新聞が、平成29年度税制改正所得税基礎控除を見直すことを政府与党が検討している旨のニュースを配信していました。以下、一部引用します。

政府が全ての納税者に適用される所得税の「基礎控除」について、高所得者ほど減税の効果が大きいとして見直しを検討していることが13日、分かった。非正規雇用の拡大などで家族を養う経済的余裕がない若年層が増える中、低所得者の税負担を軽減し、高所得者に一定の負担を求める方向で、減税額を一定にする案や所得制限を設ける案が浮上している。(引用終わり)

基礎控除というのは、誰であっても38万円を総所得金額から減額できるというものです。よくパートの給料103万円の壁、なんて言いますが、あれは給与所得控除が最低65万円、基礎控除が38万円、合計103万円が所得控除されるので、課税所得が0円になるので、所得税が課税されないというものです。

さて、この基礎控除について、高所得者ほど減税の効果が大きいって書かれてますが、どうなんでしょうね。ちょっと計算してみましょう。

世の中には給与所得者が多いですから、それをベースに考えてみましょう。下の図は平成28年の給与所得控除額の一覧表です(よく使うので、エクセルに式を飛ばして自作しています)。

モデルケースは東京都在住、45歳、独身とします。毎月の給与が20万円、50万円、100万円として、基礎控除社会保険料控除しかないとしましょうか。

①年収240万円の場合

給料 2,400,000円-給与所得控除 900,000円-社会保険料控除 348,288円-基礎控除 380,000円 = 課税所得 771,712円 (控除率67.8%)

② 年収600万円の場合

給料 6,000,000円-給与所得控除 1,740,000円-社会保険料控除 870,720円-基礎控除 380,000円 = 課税所得 3,009,280円 (控除率49.8%)

② 年収1,200万円の場合

給料 12,000,000円-給与所得控除 2,300,000円-社会保険料控除 1,706,616円-基礎控除 380,000円 = 課税所得 7,613,384円 (控除率36.5%)

次に、それぞれのケースで、所得税と住民税も計算してみましょう(住民税と所得税は少し基礎控除額が違いますが、差異は小さいので簡便的に所得税の課税所得と同じとしています。)

①の場合

所得税 38,550円+復興税 809円+住民税 82,100円

=合計税額 121,459円 (負担税率5.1%) (給与の手取率 80.4%)

②の場合

所得税 203,400円+復興税 4,271円+住民税 305,900円

=合計税額 513,571円 (負担税率8.6%) (給与の手取率 76.9%)

②の場合

所得税 1,114,990円+復興税 23,414円+住民税 766,300円

=合計税額 1,904,704円 (負担税率15.9%) (給与の手取率 69.9%)

という結果になりました。当たり前ですけど、並べて見ると高額所得者ほど、税負担率が高くなって、給与の手取率も減っていきますね。

基礎控除高所得者ほど減税効果が大きいとの主張は正しいでしょうか?

私は正しくないと思います。給与所得控除を見れば解ると思いますが、高所得者ほど、給与所得控除の割合が低くなっていて不利になっています。

給与所得控除の割合が誰でも一緒なら、高所得者基礎控除が同額である恩恵を受けていると言えると思いますが、税負担率を見ると、現状は低所得者ほど基礎控除の恩恵を受けています。

政府としては、取りやすいところから取るというのが本音なのでしょうね。どうやって見直すのかはわかりませんが、今の控除制度は解りやすくていいと思いますけどねぇ。複雑な税制にすればするほど、間違いも起きるし、余計にコストがかかって、増税の効果が薄れてしまいます。